【概要】
2020年度より小学校で、2021年度より中学校でプログラミング教育が必修化されました。これに伴い、これまでにあまり聞かれなかった教育概念や考え方も多く出るようになってきました。その中の1つに、「STEM教育」というものがあります。この記事では、以下の項目に沿ってSTEM教育の概要・事例について徹底的に解説していきます。
- STEM教育ってどういう意味?詳しく確認!
- STEM教育の海外事例について2つ紹介!
- STEM教育の国内事例について2つ紹介!
- 国内でSTEM教育を研究している機関はどこ?
STEM教育ってどういう意味?詳しく確認!
引用元:ロボロ
STEM教育は、2000年代にアメリカで提唱された考え方です。以下の4つの言葉の英単語の頭文字を取って作られた言葉になっています。
- Science(科学)
- Technology(技術)
- Engineering(工学)
- Mathematics(数学)
これらをばらばらに学ぶのではなく、総合的に学ぶことを重視しています。テクノロジー技術が大幅に進んだ現代では、単一の知見のみもった人材だけでなく、各分野について横断的に学んだ人材が必要になってきています。STEM教育は現代の状況に対応するために必要な考え方として定着することになりました。
STEM教育の海外事例について2つ紹介!
引用元:ロボロ
STEM教育の海外事例について、アメリカのものとシンガポールのものを紹介します。
アメリカ・サンディエゴにあるHigh Tech Highという公立学校ではアクティブラーニング形式の授業を実施しています。これは、指導者から子どもたちへの一方的な指導ではなく、学習主体を子どもたちにおくスタイルの授業です。プロジェクト・そのゴールも子どもたちが選定するのが特徴的です。
設定したプロジェクトを進める過程でプログラミングが絡んできたり、成果発表にアート作品が絡んできたりすることもあるため、STEM教育の基本を満たしていると言えます。
シンガポールでは、国を挙げてSTEM教育を推しています。STEM教育という言葉が生まれる以前の1997年から探求型学習を推進していたシンガポールですが、2014年には「STEM Inc」というプロジェクトを開始しました。これは、STEMのスペシャリストらが学校現場まで赴いてカリキュラムを作成したり、授業をサポートしたりする学習支援です。
また、シンガポールでは、教科ごとに分けた学習ではなく、実社会でどう活用されるかによって学習内容をカテゴリー化しています。このため、「子どもの希望している分野・得意な分野ではどんな学習が必要か」にフォーカスして学習させることが可能であり、かなり先進的な教育となっています。
STEM教育の国内事例について2つ紹介!
引用元:芝浦工業大学附属中学校
STEAM教育の国内事例について、芝浦工業大学附属中学校と玉川学園中等部のものを紹介します。
芝浦工業大学附属中学校では、「ショートテクノロジーアワー」という取り組みを展開しています。これは、各教科で学んでいることが各種テクノロジーとどのように関係していくのかを教員が紹介する取り組みです。子どもたちがただ機械的に学習するのではなく、「実社会の中で学習項目がどう役立ってくるのか」を実感しつつ学習することが出来るため、各種学習項目への関心を向上させることが出来ます。
玉川学園中等部は、かなりSTEM教育に力を入れている学校です。特に課外活動の場で実践的な訓練を多く実施しています。その1つであるロボットクラブでは、ロボットの工作を通してプログラミングのつながり方・学んだ理論を形にする活動をしています。また、在校生と教員・保護者共通のネットワークコミュニケーション環境を整えており、IT技術に自然と触れていける環境が整っています。
国内でSTEM教育を研究している機関はどこ?
引用元:STEM教育研究センター
最後に、日本国内でSTEM教育を研究している機関を1つ紹介します。
埼玉大学教育学部の研究室の1つに、STEM教育研究センターというものがあります。このセンターは、多くの教育現場と連携しながら次のことを目指しています。
- ものづくりの活動を通した教育方法に関する研究開発を行う
- 従来の科学技術教育,理数教育を捉え直し,STEM(Science, Technology, Engineering and Math)教育として学習内容の体系化を進める研究開発を行う
- 学校教育,社会教育で求められるSTEM教育を指導できる,指導者育成の内容と方法に関する研究開発を行う
- 研究を推進するために,開発した新しい教育活動を実証研究するフィールドを大学内に設置する
- 国内外の関係研究機関と連携してSTEM教育について国際的に情報発信できる研究拠点を形成する
STEM教育研究センターは、上記目的の達成のためのプロジェクトを多く進行しており、その中の1つに「ロボットと未来研究会」というものがあります。これは、STEM教育を進めていくうえでまだ誰も使ったことがない未知の教材・カリキュラム・指導法を研究するものです。レゴブロックを使って実際に稼働することが出来る宇宙エレベーターの模型を作成する・歩行ロボットを作るなど、様々な形で児童たちが主体的に学習していくことが出来る手法を研究しています。
また、同センターは運営理念の中で保護者の手出し・口出しを避け、子どもの活動を待つ姿勢を重視しています。これはSTEM教育の理念の1つである「主体性の育成」に沿ったものです。
引用集
http://neo.stem-edulab.org/page_20200820030156/page_20200820030400